勤務医時代に千件~二千件の症例を執刀したでしょうか。
助手も含めれば数千件になります。
全国を見渡せば、一万件以上の手術経験をしている先生もいらっしゃいます。
白内障は、手術すればほぼ確実に視力の回復が期待できます。
発症時期や程度には個人差がありますが、加齢性変化なので、
年をとれば、誰もがなる病気です。
糖尿病を患っている方や、ぶどう膜炎、外傷の既往がある方、
アトピー性皮膚炎など体質によっては若い方でもなります。
大学病院に勤務しているときには、いろんな方がいらっしゃいました。
かつて読売ジャイアンツにいた松井選手のホームランボールが眼にあたって、
それ以来緑内障になってしまった方。
ゴルフボールが眼に当たって、それ以来緑内障になり、好きなゴルフをやめた方。
牛に眼を蹴られた(!)方。
眼の中では、房水という水が循環しています。
房水の産生と、排泄によって眼圧は保たれているわけですが、
外傷によって房水の排泄機能が悪くなり、緑内障になってしまったのです。
外傷といえば、芝を刈る機械があるのですが、あれはちゃんとゴーグルで眼を保護しないと危ないです。
カッターの刃が石にあたって欠け、欠けた刃が眼にささるということがあります。
刃は鋭く、高速で飛んでくるので眼のかなり深部まで到達します。
僕が経験した方では、眼を貫通(!)していました。4時間半に及ぶ手術で奇跡的に失明は免れました。
角膜というのは黒目のところですね。この部分は透明です。
ここには血管はありません。
房水を介して栄養をうけています。
涙によって守られています。
角膜上皮という防壁があるのですが、これが傷つき細菌や真菌が進入すると、
血管がなく、無防備なので他の体の器官に比べると、非常に弱いのです。
特に真菌は組織の深部にもぐりこむので、薬剤が効きにくいです。
農作業の合間に汚れた手で眼をこすり、
角膜に傷がつき、真菌が入ったのでしょうね、
それがもとで失明した方がいらっしゃいました。
痛いし、見えないし、やっかいです。真菌は怖いです。
コンタクトレンズもね、眼に直接触れるものですから、
気をつけて扱った方がいいですよ。
用法を守って使うことですね。